やまがたのデザイン

山形エクセレントデザイン展2018

山の向こうのもう一つの日本。
山形には美しい自然と文化が共存し、その歴史と伝統を源流とした優れたものづくりが脈々と息づいています。県内で作られた優れたデザインの製品を選定する「山形エクセレントデザイン」選定品の展示をはじめ、山形のものづくりを様々な面から掘り下げることで、広く県内外の方々に、山形のデザインやものづくりへの理解を深めてもらうことを目的とした展示会を開催しました。

●会期 2018年9月1日(土)から9月24日(月・振休)のうち、金・土・日・祝日 開催
みちのおくの芸術祭「山形ビエンナーレ2018」と同時開催 10:00~17:00
●会場 東北芸術工科大学 デザイン工学実習棟B 2階(山形市上桜田3-4-5)
●協力 東北芸術工科大学
●来場者数約4,200名
●山形エクセレントデザイン2017選定品の展示
山形エクセレントデザインは、魅力的で競争力の高い商品づくりとデザインマインド向上を目指す事業として、県内で企画・開発・生産されている優れたデザイ ンの製品について選定・顕彰をおこなうもので、これまで9回開催してきました。今回は2017年に選定された15製品を展示しました。

出展企業/大蔵村棚田米生産販売組合、森の家、株式会社つたや物産、有限会社ツルヤ商店、株式会社ニューテックシンセイ、株式会社長沢燃料商事、株式会社和農産、芦野和恵、酒田米菓株式会社、株式会社鈴木製作所、大東精密株式会社、農事組合法人山形おきたま産直センター、山形県朝日町+地域振興サポート会社まよひが企画、株式会社山田鶏卵、有限会社結城米菓

出展企業の詳しい紹介と各社毎の動画はこちらをご覧ください。


●受賞者×デザイナーによるトーク「根っこの話」

受賞製品が生まれた背景やデザインに込めた想いを、作り手とデザイナーの目線から探っていく、受賞者×デザイナーのトーク“根っこの話”を開催しました。

第1弾〈大蔵村棚田米とデザインの話〉
須藤敏彦(大蔵村棚田米生産販売組合)×萩原尚季(株式会社コロン)
前半は、これまで萩原さんが手がけられたデザイン事例の紹介や、大蔵村の棚田米に関わったきっかけ等をお話しいただき、後半は須藤さんも加わって、棚田米の現状や他地域の棚田との違い、デザインに期待することなどを伺いました。最後に試食した棚田米「里のゆき」のおにぎりは、ほんのり甘みがありとても美味しいものでした。来場者からはお二人の話に共感の声が多数あり、地域でデザインは受け入れられるのか、など様々な質問も寄せられました。
*9月1日(土) 11:00~12:30 /参加費500円/棚田米「里のゆき」のおにぎり試食付き
参加者:15名

第2弾〈森の家のブランディングの話〉
佐藤春樹(森の家)×小板橋基希(株式会社アカオニ)
小板橋さんからは、アカオニがこれまで関わった食品・農業系の事例を中心に、デザインの考え方を紹介いただきました。佐藤さんからは、何百年と伝承されてきた里芋を、これからも末永く続けていくためのブランディングや、今回受賞した「リンゴリらっぱ」では、母方のお祖父さんから受け継いだりんご園をできるだけ農薬を使わない栽培方法に変えるという挑戦を、アカオニがデザイン面でどう後押しをしたのかについてお話を伺いました。
*9月14日(金) 14:00~15:00 /参加費500円/リンゴリらっぱのジュース付き
参加者:19名

第3弾〈ハイルが生まれた話〉
会田源司(有限会社ツルヤ商店)×小野里奈(rinao design)
聞き手:日野明子(スタジオ木瓜)
小野さんにデザインを依頼するきっかけとなったのは、小野さんのデザインが “自分押し” ではないところに、素材の特性を活かした何かが生まれるのではないか、また、販売方法も一緒に考えてもらえるのではと思ったから、と会田さん。一方、小野さんはそのメーカーがどういう将来像を描いているのかを見極めるため、デザインの依頼があっても2~3年寝かせることもあるのだとか。そうしてゆっくりとスタートした「ハイル」の開発。「使ってこそ分かる粗(あら)があり、売り文句にも自然と実感がこもる」と、小野さんは製品を半年以上、家で徹底的に使い込んだそうです。メーカーとデザイナーとの協働がうまく進むヒントがたくさん詰まったトークでした。トーク終了後は、会田さんによる籐巻きの実演を行いました。
*9月21日(金) 14:00~15:30 /参加費500円/リンゴリらっぱのジュース付き
参加者:20名

 

●ワークショップ
エクセレントデザイン選定品の背景や職人の想いをより深く知ってもらうため、選定品に関連したワークショップを開催しました。

〈コマの絵付け体験と実演〉
つたや物産 工人の蔦文男さんによる、ろくろを使ったコマ絵付けの実演を行いました。大人も子供も、職人の技に目が釘付けになり、コマの絵付け体験では、職人の技にせまる名作コマがたくさん誕生しました。
*9月8日(土) 14:00~15:00 小学生以上対象/参加費300円、コマ追加200円 ※9月9日(日)、9月16日(日)は絵付け体験のみ開催
講師:株式会社つたや物産 工人 蔦文男氏
体験者:118名(累計)

〈コマ回し教室〉
全日本独楽回しの会の会長であり「安藤コマ名人」の愛称で知られる安藤先生をお招きしてコマ回し教室を開催しました。線香花火・綱渡り・カツオの一本釣りなど、ユニークな技の数々に歓声が上がっていました。
*9月15日(土) 14:00~15:30 小学生以上対象/参加費500円 ※コマのおみやげ付き
講師:尚絅学院大学子ども学科教授 安藤正樹氏
体験者:27名

〈kiboriブローチを彫ってみよう〉
山形エクセレントデザイン2017の受賞製品「kiboriブローチ」を彫るワークショップを開催しました。kiboriブローチの千鳥や雲の形は、実際に山形仏壇に使用されている古典的なモチーフです。今回挑戦したのは花。梅や桜などの見本から、好きな形を選んでもらいました。「もっと簡単に彫れるかと思ったけど難しかった」「自分でつくるってやっぱり面白い」など、みなさん職人の技術に改めて感心したようでした。
*9月22日(土) 1回目13:30~、2回目15:00~ 中学生以上対象/参加費1500円 ※ブローチ・保険込み
講師:芦野和恵氏
体験者:11名

〈もくロックの森を歩こう〉
木製ブロック「もくロック」を製造している株式会社ニューテックシンセイは、手入れ不足等で森林の機能が十分に発揮されずにいる場所を地域の方々と一緒に整備再生し、交流の場として活性化していく「やまがた絆の森プロジェクト」を進めています。今回は森の案内人 白壁洋子さんをお招きし、南陽市十分一山の森の植生を観察しながら、植樹体験やもくロックのキーホルダーづくりをしました。
*9月23日(日) 13:00~15:00 小学生以上の親子対象/参加費1組1000円
※もくロックのキーホルダーのおみやげ付き ※現地集合、現地解散
講師:森の案内人 白壁洋子氏
体験者:24名

 

 
●やまがたのモノづくりとデザインの年表
山形の産業の始まりは1356年(室町時代)にさかのぼると言われています。山形のものづくりとデザインにまつわる出来事を集めた年表を展示しました。

●初回~10回目までの選定品紹介パネル
山形エクセレントデザインは1997年からスタートし、隔年の選定により2017年で10回目となりました。これまでの選定品149点をパネルで紹介しました。

●ショップ
展示期間中、東北芸術工科大学内のショップ〈TUAD STORE〉では、2017年の選定品のほか過去の選定品も多数販売しました。

●広報
「gatta!web」、「やまがた山」、「県政ラジオ」、「山形県公式Facebook」、「山形新聞」、「リアルローカル山形」など、開催情報を多数紹介していただきました。

●まとめ
本展示会は13日間の会期中、4,200人以上の方に御来場いただきました。今回は東北芸術工科大学主催の「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2018」と連携して同時開催したこともあり、来場者は前回の約4倍となりました。
展示には、エクセレントデザイン選定品だけでなく、ものづくりの背景や作り手の想いをより深く知っていただくために、受賞企業を取材したパネルや動画で紹介したほか、工業技術センターが普段行っている企業支援の紹介や、大人も子供も楽しめるイベント等を多数開催いたしました。山形のデザイン・モノづくりをより身近なものとして、作り手の技術やデザインに込めた想いを感じていただけたのではないかと思います。
御協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。またさらにパワーアップして山形のデザインを盛り上げていきたいと思います。

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