
良いデザインを知る
生産者と市民がつながる、鶴岡のおいしい朝
「鶴市」は、6月~10月まで鶴岡公園と荘内神社参道で開催される朝市です。観光分野でも空白の時間帯である早朝に、農家と市民、観光客が直接交流することで、鶴岡の食文化を体験しながら知ってもらえる取り組みになっています。
荘内神社の石原和香子さんにお話を伺いました。

受賞作品「鶴市」
― 受賞作品を開発したきっかけは?
以前から「地元農家の食材を直接購入できる場をつくりたい」と思っていた中、「20年前に鶴岡市役所で開催されていた朝市を復活させたい」と考えてきた現実行委員長の佐藤聖典さんと出会ったことがきっかけです。食文化創造都市の鶴岡でありながら、日常の買い物は大手スーパーが中心で生産者と対面する機会がほとんどない現状を変えたいと、農家と荘内神社がコラボレーションして企画。鶴市実行委員会を立ち上げ、実際に生産者と会ってファンになってもらえる場づくりを始めました。
― 開発にあたり、難しかったことや苦労した点は?
出店の声がけをしても、近年の異常気象による農作業の忙しさや不安から断られることが多く苦労しました。農家だけでなく加工品製造者にも声がけを広げながら、第1回は8店舗でスタート。デザイナーの大瀧さんにつくっていただいたロゴののぼりを前日から立ててPRしたところ、地元住民を中心とした約400人の方に来場いただき、8店舗ともすぐに完売しました。
― それをどのように乗り越えられましたか?
市民と触れ合いたいと思う若手農家が参加してくれたことが大きな力になりました。可能な方から少しずつ参加していただくことで、そこから「楽しかった」という声が広がり、自然と出店者が増えていきました。実行委員会はざっくばらんに意見を言い合えるゆるやかな関係で、餅つきやお米の食べ比べ、雨の日おみくじなど、みんなで楽しく企画を考えています。

地域を元気にしたいという思いから始まった鶴市。2026年は鶴岡駅前での出張鶴市も予定。朝にこだわらず日中の開催も計画し、幅広い交流の場を目指している。(企業提供)
― 受賞作品を通じて、購入者・利用者・生活者に何を伝えたいですか?
農家から直接購入することで、物価高の中少しお安く買い物ができるだけでなく、「この農家から直接買いたい」という気持ちが生まれます。7月には與治兵衛きゅうり、10月にはサムライレンコンなど鶴岡ならではの在来作物も期間限定で並びます。出店者からおすすめの食べ方を聞くなど、コミュニケーションを通じ子どもたちにも買い物の楽しさを感じてほしいと思っています。地方ならではのコミュニティをさらに育てながら、鶴岡って楽しいと思っていただけたら嬉しいです。
― これからの展望は?
今年から鶴岡駅前での出張鶴市も予定しており、近隣に宿泊されている観光客の方にも鶴岡の食文化を伝える場を広げていきます。鶴市をきっかけに、出展者同士のつながりも新たに生まれるなど、地域の人と人とのつながりが深まっていることを感じます。おかげさまで年々参加者が増えており、無理なく、何より楽しみながら長く続けていける体制づくりを大切にしていきたいと思っています。

農家と直接声を交わし、種類が豊富な在来作物の美味しい食べ方を知ることもできる。(企業提供)


