
良いデザインを知る
手仕事の温かさを、現代の暮らしにも
明治末期の創業以来、天然素材「籐」を用いた生活の道具をつくり続けてきた有限会社ツルヤ商店。受賞した「high-lowシリーズ」は、籐素材の自然な質感を残した無塗装仕上げのバスケット「ハイル」に続くシリーズです。家具の隙間や壁際などのデッドスペースを有効活用できるコンパクトな奥行き、3タイプの高さのラックとそれぞれの高さに合わせて収まるバスケットで、お客様の暮らしに寄り添います。
有限会社ツルヤ商店の会田源司さんにお話を伺いました。

受賞作品「high-lowシリーズ」
― 受賞作品を開発したきっかけは?
「ハイル」シリーズの開発から約10年。籐素材や日本の籐製品の良さをより広く知っていただける商品を増やすことで、「山形の籐製品」のブランド力アップにつなげたいと考えました。従来のバスケットは高さ65cmが中心でしたが、「低くて使いにくい」という声や、2段よりも3段が好まれる通販の傾向など、お客様の用途やニーズの変化を感じていたことも開発の後押しになりました。
― 開発にあたり、難しかったことや苦労した点は?
籐素材の良さを活かしながら現代の暮らしに違和感なく溶け込ませるためのバランス、「ハイル」シリーズとの「共通点」「違い」のわかりやすい訴求、この2点が課題でした。特に奥行きをどこまで狭くできるかと、収納としての容量をどう確保するか、安定性と実用性の両立に頭を悩ませました。
― それをどのように乗り越えられましたか?
通販の売れ筋商品を参考にしながら、省スペースで便利に使える籐製品を目指しました。「ハイル」シリーズのデザイナーである小野里奈さんに依頼し、籐の縦芯の間隔などの共通点を引き継ぎながら、現代のインテリアに合うシンプルなデザインに仕上げていただきました。サイズ感も小野さんからの提案をもとに決定。構想から約1年半で製品化を実現しました。

お客様からの声を大切にし、現代の暮らしに馴染むような籐素材の特徴を生かした製品を提案している。
― 受賞作品を通じて、購入者・利用者・生活者に何を伝えたいですか?
籐素材の軽さやナチュラルな質感、そして日本の手仕事の良さを生活の中で感じていただきたいと思っています。購入を検討している方が自宅でサイズ感を確認できるよう、実寸大の型紙もご用意しています。お客様のニーズや市場の変化に柔軟に対応し、新しい価値を提案することで、「日本の籐製品の継承」へとつなげていきたいです。
― これからの展望は?
これまでのBtoB中心の取り組みに加え、独自のECサイトやSNSを活用したBtoCにも力を入れ、お客様の声をより商品開発に活かしていきたいと考えています。国内にとどまらず、国外のお客様にも「日本の手仕事・籐工芸」の魅力を伝え、評価を高めていく努力を続けていきたいです。

日本の籐製品ならではの手仕事の温かさや、その技術を大切に守り続けている。


