美しい地球を、金型技術で未来へつなぐ

良いデザインを知る

美しい地球を、金型技術で未来へつなぐ

2026.08.21

山形エクセレントデザイン2025 入賞

株式会社高橋型精

フィルム・紙・樹脂など多様な素材に対応した高精度な精密抜型を製造する株式会社高橋型精。受賞した「紙カトラリーamu」は、生分解性の紙100%のカトラリーです。独自開発の"ねじる"形状で高い強度を実現しながら、保管時は平らな状態でコンパクトに収まり、災害備蓄用としても活用できます。
株式会社高橋型精の高橋広真さんにお話を伺いました。

受賞作品「紙カトラリー amu」

受賞作品「紙カトラリー amu」

― 受賞作品を開発したきっかけは?

使用済みプラスチックの海洋流出など世界的な環境問題が深刻化する一方、耐水性を備えた生分解性紙など新素材の開発も進んできており、長年培ってきた紙加工のノウハウを活かして使い捨てプラスチックに代わるカトラリーをつくれないかと考えたことが開発の出発点です。アウトドアや飲食店のテイクアウトシーンでも気軽に使えるものを目指しました。

― 開発にあたり、難しかったことや苦労した点は?

強度を確保するために最初に検討したのは、紙に熱を加えて成型する方法でしたが、専用の金型や装置が必要となりコストと設備の負担が大きくなることがわかりました。そこで、平らな状態から使用時に組み立てる方式へと発想を転換。しかし今度は、この構造で強度とデザイン性を両立させることが新たな難題となりました。使い捨てでもしっかり使えるものにしたい。その一心で、約1年にわたる試行錯誤が始まりました。

― それをどのように乗り越えられましたか?

100個以上の試作を重ねる中でたどり着いたのが、持ち手を二重にする構造です。ねじりを加えることで、立体的な形を生み出しながら強度を大幅に高めることができました。パッケージにはイラストで組み立て方をわかりやすく表示し、誰でも迷わず使えるよう工夫しています。

紙製のカトラリーでも快適に食事が楽しめるよう、強度と使い心地を追求し、納得がいくまで試作を重ねた。(企業提供)

紙製のカトラリーでも快適に食事が楽しめるよう、強度と使い心地を追求し、納得がいくまで試作を重ねた。(企業提供)

― 受賞作品を通じて、購入者・利用者・生活者に何を伝えたいですか?

この製品を手に取った方に伝えたいのは、日常のちょっとした選択が環境に影響するということです。使用前はフラットで場所を取らず、災害備蓄にも最適。そして何より、当社の本業である高精度な精密抜型の技術が、こうした製品を生み出していることも知っていただきたいと思っています。

― これからの展望は?

世界では毎日膨大な量のプラスチックスプーンが使われ、分別環境が整っていない地域では川や海へ流出するケースも後を絶ちません。その一部でもこの紙カトラリーに置き換わることで、次の世代へ美しい環境を引き継ぐ一助になればと願っています。今後は紙だけでなく、高精度な金型技術を活かして他の素材にも挑戦していきたいと考えています。

職人が生み出す高精度な抜型。その確かな技術と創意工夫の精神で、様々な自社商品の開発に取り組んでいる。

職人が生み出す高精度な抜型。その確かな技術と創意工夫の精神で、様々な自社商品の開発に取り組んでいる。