山形の子どもたちと育んだ、最高の背負い心地

良いデザインを知る

山形の子どもたちと育んだ、最高の背負い心地

2026.08.21

山形エクセレントデザイン2025 入賞

株式会社カバンのフジタ

山形県内を中心に展開する老舗カバン専門店、株式会社カバンのフジタ。受賞した「藤田鞄店ランドセル」は、70年前から天然牛革ランドセルを手掛けるフジタが立ち上げた新ブランドです。御用達職人のこだわりや背負い心地を見える化し、過酷な山形の四季を過ごす子どもたちに、丈夫で軽く背負える快適なランドセルを提供しています。
株式会社カバンのフジタの藤田宏基さん、小松幸恵さんにお話を伺いました。

受賞作品「藤田鞄店ランドセル」

受賞作品「藤田鞄店ランドセル」

― 受賞作品を開発したきっかけは?

夏は暑く冬は豪雪となる山形の四季を過ごす子どもたちに、丈夫で安心安全、快適なランドセルを届けたい。70年前、雪国のランドセルを生み出した頃の初心に立ち返り、フジタのぴょんちゃんランドセルを手掛けていた御用達職人に、12年ぶりに製作を依頼しました。先々代の時代から続くご縁を頼り、何度も足を運んで試作と検証を重ね、完成までに3年半をかけました。フジタの背負い心地を追求した構造と、職人の技術を掛け合わせた、こだわりの詰まった山形発、雪国ランドセルです。

― 開発にあたり、難しかったことや苦労した点は?

これまで店舗や展示会で実際に背負っていただくことでしか伝えられなかった、フジタのランドセルの背負い心地。それをどう見える化し、お客様に伝えるかという点に苦心しました。長年大切にしてきた「軽さ」や「なじみ」の良さを、感覚としてではなく、もっと客観的に伝える方法が必要でした。

― それをどのように乗り越えられましたか?

信州大学の感性工学科の吉田教授とご縁があり、ランドセルを背負った際の「背中にかかる重さ」や「体へのなじみ方」を検証していただきました。その結果、これまでこだわってきたフジタの設計思想が、ちゃんと機能していることが科学的に証明されました。伝える術がなかったものを現代の科学で数値化できたことは、私たちにとっても大きな喜びでした。WEBサイトやカタログにグラフを用いることで、牛革のなじむ性質や背負い心地の良さを、わかりやすくお伝えできるようになりました。

使い込むほど負荷がかかる位置が3箇所へバランスよく分散され、お子さまの体に自然と馴染むランドセルへと育っていく。(企業提供)

使い込むほど負荷がかかる位置が3箇所へバランスよく分散され、お子さまの体に自然と馴染むランドセルへと育っていく。(企業提供)

― 受賞作品を通じて、購入者・利用者・生活者に何を伝えたいですか?

フジタのランドセルは、「体に密着すること」「重心を上に背負うこと」「ぶれないこと」という、軽く背負えるための3条件を満たし続けます。肩ベルト裏や背あてには天然牛革を使用し、卒業までの6年間、体型の変化にもやさしくなじみ、包み込むようにフィット。天然素材ならではの通気性で、夏はひんやりと、冬はぬくもりを感じられます。お子さまと一緒に成長していくランドセルであることを、知っていただきたいです。

― これからの展望は?

地元山形の風土の中で、70年間お客様に使っていただきながら改良を重ねてきた構造と、一流の鞄職人の技術が掛け合わさって生まれたこのランドセル。子どもの登下校の無事、健やかな成長という親の願いに寄り添いながら、このランドセルを日本中に広めていくことで、山形の魅力をより多くの方へお伝えしていきたいと考えています。

山形の四季を快適に過ごすために工夫を凝らしたランドセルは、お子さまの成長にどこまでも寄り添い続ける。(企業提供)

山形の四季を快適に過ごすために工夫を凝らしたランドセルは、お子さまの成長にどこまでも寄り添い続ける。(企業提供)