地域資源の循環で、土から笑顔に豊かになる

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地域資源の循環で、土から笑顔に豊かになる

2026.08.21

山形エクセレントデザイン2025 入賞

有限会社三郷原牧場・有限会社月山パイロットファーム

自然豊かな庄内地方で養豚・堆肥製造販売を行う有限会社三郷原牧場と、有機農業の推進に取り組む有限会社月山パイロットファーム。両社が共同で開発した「fuka」は、豚糞に地元企業から出る木質などの未利用資源を混ぜ込み、完熟発酵させた堆肥です。「fuka」を体験できるガーデンの運営や農家への土づくりサポートも展開し、地域循環型の豊かな暮らしを提案しています。
有限会社三郷原牧場の上野真悠子さん、有限会社月山パイロットファームの相馬大さん、ガーデンと苗販売協力者の相馬佳苗さんにお話を伺いました。

受賞作品「fuka」

受賞作品「fuka」

― 受賞作品を開発したきっかけは?

農作物の収量増や品質向上のために、高品質な堆肥をつくれないか。きっかけは、月山パイロットファームさんからのこんな相談でした。三郷原牧場が掲げる「ここで働けてよかったと思える会社を目指し、自然を尊び、明日への活力をはぐくむことで地域社会の発展に貢献する」という企業理念とも重なり、共同開発へと踏み出しました。

― 開発にあたり、難しかったことや苦労した点は?

苦労したのは、通常の養豚業務をこなしながら、定期的な温度チェックや水分管理の時間を確保することでした。腐植堆肥として完成するまでに半年、さらに散布してから生産成績として結果が出るまでにも時間がかかります。先が見えない期間が続き、不安を感じることもありました。

― それをどのように乗り越えられましたか?

堆肥管理を日々の業務にルーチンとして組み込み、時間の問題を解決。連作障害が出ていた自身の家庭菜園で試してみたり、月山パイロットファームさんとトマトやナスの比較実験を重ねたりしました。「fuka」を入れた畑とそうでない畑では生育の差はもちろん、小松菜の糖度まで違いが出るほどでした。発酵が進むと堆肥はあたたかくなり、豚舎の敷床に使うと豚たちが自らかき混ぜてくれます。匂いも軽減され、豚のストレスも減る。思わぬ付随効果も生まれました。

運営するガーデンは元々耕作放棄地。一度豪雨災害で完全に水没したが、今ではfukaの力で元気な植物で溢れている。

運営するガーデンは元々耕作放棄地。一度豪雨災害で完全に水没したが、今ではfukaの力で元気な植物で溢れている。

― 受賞作品を通じて、購入者・利用者・生活者に何を伝えたいですか?

完熟堆肥で匂いもなく安心・安全な「fuka」を使って、肥料や消毒に頼らなくてもよい家庭菜園やガーデニングを楽しんでいただけたら嬉しいです。経営に悩む農業従事者の方には土づくりの面で寄り添い、おいしい農作物づくりや収量増につながれば、地域農業の活性化にもつながると信じています。

― これからの展望は?

養豚場から出る豚糞をはじめ、おがくずも、廃菌床も、もとは廃棄物です。でも手を加えることで、土を豊かにする腐植堆肥として生まれ変わります。その堆肥が地域の花や作物へと還元される。この循環の輪を、花苗の販売や豚肉を使った加工品へとさらに広げていきたいと考えています。地域の資源がぐるぐると巡る、そんな仕組みをこれからも育てていきます。

fukaは土の中の菌や養分のバランスを整え、植物本来の生命力を高めてくれる。根っこも大きく育つ。

fukaは土の中の菌や養分のバランスを整え、植物本来の生命力を高めてくれる。根っこも大きく育つ。