買い物が不便な地域の住民と店舗をタブレット端末で繋ぎ、リアルな対話を通じて買い物支援を行う取組み。山間部で育てた野菜を買取、店頭や配達先で販売する等、地域限定流通網を活用した地域経済の共生・互助に貢献している。
地域課題に向き合って、住民に寄り添ったサービスを企画していることが評価された。今後地域コミュニティへのさらなる関わりが期待される。(長谷川)
さくらんぼ梱包箱を誰でも簡単に、効率的に組み立てられる段ボール製の治具。さくらんぼの収穫時期は人手に頼らざるを得ないが、熟練者と同じスピードで箱の組み立てが可能。リサイクル可能な段ボール製で、環境にも配慮している。
打たれ強いデザインである。山形だからこそ作れた治具であることはもちろん、誰にでも仕事を生むことで、効率を越え、多世代が関わる仕組みへの可能性にも評価が集まった。(原田)
サイズ:W770×D590×H185mm
参考価格:6,600円
非対称の異形ワーク(部品)を、旋盤(回転させ切削する装置)で高精度加工するための円形生爪(ワークを掴む爪)のオーダーメイドサービス。段取りや加工時間を大幅に短縮し、企業の生産性を飛躍的に向上させる。
県内のものづくり産業の課題を当事者として捉え、道具を作ることでデザインが持つ「設計」の意味を広め、課題を解決している点を高く評価。(酒井)
参考価格:100,000~150,000円
※オーダーによる
軟質針葉樹である国産・地域産材のスギを活用したチェア。軟質針葉樹の比重を広葉樹同等まで高められる独自技術を新たに開発し、軽やかながら高い強度をもつ家具を実現した。国内人工林の約7割を占めるスギやヒノキの活用が広まることで山の再生に繋がる。
技術の素晴らしさはもちろん、構造と意匠の高次の融合、そして愛らしいネーミングまで強く一貫している。プロジェクトとしてのデザイン力を高く評価したい。(吉泉)
サイズ:W474×D465×H790mm
参考価格:58,000円
近赤外線分光法によるハンディタイプのプラスチック材質判別装置。これまでは、燃え方や匂い、手触り、弾力などベテランの経験則に依りがちだった分別業務を、誰でも簡単に同じ基準で行える。プラスチックの適切な分別により、マテリアルリサイクルの促進に貢献。
専門性の高かった測定を一般化する意欲的な試みが評価された。こういった活動を機にさまざまなところで再資源化への意識が高まることが期待される。(長谷川)
サイズ:W158×D45×H92mm
参考価格:980,000円
山形のブランド米「つや姫」の標準より厳しい品質基準をクリアした高畠町産プレミアム米。組合員が共通で使用できるパッケージとして、サイズ展開や形状の検討を重ね、町出身の童話作家・浜田広介の「泣いた赤おに」をモチーフに、美味しさが伝わるデザイン。
インテリアとしてのパッケージの重要性とブランドとしてのデザイン設計の高さが評価され、泣いた赤おにが、食べると笑う赤おにになるというユーモア性も高評価。(宇南山)
参考価格:1,800円(2kg)、4,100円(5kg)
※有機米、毎年価格の改定あり
最上町沢原地区のお母さんたちが作るPPバンド製のはけごバッグ。元々は知り合いにプレゼントするだけだったが、コミュニティを作り、ブランディングに取組むことでより魅力的な商品となった。雪深い土地の手仕事の美しさを発信し、商品を通して人と人の繋がりを創出している。
アノニマス・デザインである「はけご」を、商材としてのブランディングを通して地域のお母さんたちの背中を押すプロジェクトとして高く評価。(酒井)
参考価格:2,500 ~ 5,000円
県内で採れた山菜をパウダー化し、海水塩「酒田の塩」とブレンドした塩のセット商品。食べられる時期が限られている山菜の風味を季節問わず味わうことができる。障がい者の生産活動や生産品をPRし、工賃アップを目指している。
食品に関わる仕事は、誰かを想うことでもあり、関わる人の心も元気になっていく。そこに届けるためのデザインが加わることで障害のある人たちの工賃がアップされ、良き循環が続くことに期待したい。(原田)
サイズ:W120×D190×H40mm
参考価格:2,685円(6本セット化粧箱入り)
※単品は各417円
大石田町にある県産フルーツを使ったスイーツ店と工房。雪室保存を活用し、通年を通して県産フルーツを使ったスイーツの供給を実現。遊休不動産だった蔵をリノベーションした店舗は、町の賑わい創出にも貢献している。
地産地消、雇用創出や街開発などデザインの幅広い探求精神が功を奏し、デザイナーと組むことで、適材適所の相乗効果も感じられ、プロデュースの重要性も評価された。(宇南山)
庄内浜の食材を活用した、地元の食文化や魅力を伝えるプロジェクト。希少な海産物や地元野菜を組み合わせたレシピをレトルト商品化し、地元漁師の加工品や器・雑貨などと共にストーリー性を持たせた展開となっている。未利用魚の有効活用で食品ロスの低減にも貢献。
食べ慣れない未利用魚・低利用魚を料理としてレトルト化し、食べる機会を創出している。土地の香りと現代性が共存したブランディングも、目的に即している。(吉泉)
参考価格:432円~
金山町の暮らしの豊かさや楽しさをこれからに伝えていくため、観光・文化・交流を軸に、観光文化誌「k-hour 金山の時間」や「k-hour movie」を制作。首都圏の人と町民が「金山の未来を創造する」デザインスクールを実施し、金山との「関わりしろ」を形成している。
長く行政と町民で育ててきたものを基軸に、アップデートするかたちで外の視点を付加させ、町ぐるみの地に足がついた取組みになっている。継続性のある展開に期待したい。(原田)
参考価格:観光文化誌「k-hour」1,000円
山形県産米の米糀を発酵させたノンアルコール・ノンシュガーの甘酒をベースに、ウコギや秘伝豆など伝統的な素材と果実や野菜のスムージーを加えたあまさけ。「飲む点滴」とも呼ばれる甘酒の滋養と野菜や果実の恵みで毎日をおいしくサポート。
糀、あまさけ商品が市場で拡大している近年、山形の米糀と伝統野菜を組み合わせ、スムージーにしたことで、多くの人に手軽に山形の魅力を提供できることが評価された。(宇南山)
サイズ:W90×D45×H147mm
参考価格:400円
県産の花を中心に、自社でドライ加工を行う工場直営のドライフラワー専門店。コロナ禍で売れ残った生花をドライ加工して販売することで花き産業の維持・発展に貢献。記念の花束をボトルフラワーにして残すサービスも展開している。
コロナ禍により需要を失った生花を無駄にせず、生産者と市場を守る仕組みのデザインを構築し、県民の心に潤いをもたらす事業として評価。(酒井)
耕作放棄地や担い手のいない農地を借り受け、栽培から醸造・販売まで自社で行うワイナリー。生食用ブドウを栽培する地元農家と提携し、持続可能なワインづくりを目指している。収穫年度ごとの味わいの違いをワイナリーからのお便りのように届けるラベリングになっている。
耕作放棄地の利用など、取組みが持続可能的であり、ブランディングも明快である。山形のワイン醸造の歴史に、新しい風をもたらす一翼を担っている。(吉泉)
サイズ:W90×D90×H300mm
参考価格:2,000円~
高密度の手機織り絨毯の技術で織られたチェアラグ。山形の名産品をモダンな図案に落とし込み、生活空間に馴染みやすい。毛がへたりにくくコシが強いため、在宅ワークなど長時間椅子に座っても疲れにくい。使うほどに艶が増すのも魅力。
障害のある人たちとのプロジェクトや本作のようなデザイナーとの協働など、米沢緞通が伝統的な技術を自分たちだけのものとせず、開いていく姿勢に評価が集まった。(原田)
サイズ:W380×D380×H20mm
参考価格:36,000円
山形ニット産地の歴史、技術を時代に合わせた発信で後世に伝え残していくため、「セーターとは何か?」を徹底的に問い直し、ひとつひとつ形にしていくブランド。アンサー1は「ふつうのもの」。年齢、性別、国籍、嗜好性を越えた普遍的なデザインのセーター。
流行に左右されず、長く使ってもらうための「定番」を追求し、素材、スタイリング、コミュニケーションを一貫した取組みが行われている。(長谷川)
サイズ:W350×D280×H85mm
参考価格:24,000円