審査委員

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  赤池学
  株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所 所長

  私は、数多くのデザイン賞、ものづくり顕彰の審査に関わってきたが、そこでは4つの視座で、その実践を評価してきた。優れた素材や技術がもたらす「機能品質」、そのユニークなアプリケーションの「展開品質」、心と五感に訴求する「感性品質」、ユーザーを超えたステークホルダーにメリットをもたらす「公益品質」である。今回、大賞に選ばれた木質ペレットストーブ OU[オウ]、ABE HOME SHOES、佐藤屋の乃し梅のシロップ、ヨー子、nejiroなどには、いずれもこの4つの品質開発への熱いチャレンジが感じられる。ユーザーが気付き得なかった価値や経験をプロダクトアウトすること。これが、これからのデザインの大いなる可能性であることを、認定を受けたそれぞれの実践のなかに探って欲しいと思う。

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  石川俊祐
  株式会社kesiki Co-Founder

  デザイン経営という言葉が使われ始めているように、企業におけるデザインの重要性が大きくハイライトされたと感じた今年の審査会だった。デザインの役割が、物理的な「モノ」の見た目等だけではなく、使い手の「体験」、そして「サービス」や「ビジネス」等を、目的・意志を持って創出することまで網羅し、幅広く多様化してきている事例が多々見受けられた。 「山形エクセレントデザイン」は、まさにデザイナーが企業のパートナーとして、より深く、より多様な役割を担い、地域の企業とともに成長し続けるための貴重な環境を提供している。今後も、美しい景色の中で培われる山形の人材が活躍し、山形県発のユニークな企業やブランドがますます多く生まれ、日本や世界を共振させていくことを強く願う。

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  宇南山加子
  株式会社SyuRo 代表取締役

  大賞は満場一致の完璧度でした。美味しい水や食べ物とそれに付随する山形ならではの商品も多く並び、各分野でも甲乙つけがたいモノが並びました。山形のデザイン性の高さも垣間見え、風土や歴史に基づいた身近な商品と地場の発展をもたらす商品が数多く賞をとっていたように思います。パッケージを美しく見せるだけよりも、社会的な呼びかけやこれからの時代に合わせたシステム作りに通ずる事柄も多く、デザインの介入によって見違えるほど変わるのではないかというモノもあり、これからのデザインの必要性も感じました。

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  川上典李子
  21_21DESIGN SIGHTアソシエイトディレクター

  各社の強みを活かして問題解決に向かったプロジェクトに今回も出会え、山形エクセレントデザインが成果をあげていることを実感します。「だるまりんごチップス」のように広く関係者に目を向けたプロジェクトも複数あり、地域におけるチーム･ビルディングの強みと可能性を示唆するものとして注目しました。また、対面審査時に「素材を無駄にしない」「廃棄物を出さない工夫」との発言が多かったことも記憶に残りました。これら真摯な姿勢と柔軟な発想に基づく取り組みが発信されていくことで、幅広く共感を呼んでいくことでしょう。その動きもデザインの重要な価値です。山形発の積極的な活動に今後も期待しています。

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  酒井聡
  東北芸術工科大学プロダクトデザイン学科 准教授

  プロダクトやグラフィックなどのモノのデザインから、そこから生まれるコトのデザインに注目されるようになり久しくなります。そのようなコト主義の時代に山形から発せられるデザインとは何か、山形に住み、デザイン教育に携わる者として自問しながら審査しました。地域が持つ産業などの技術力だけに頼ることなく、その先にある人の営みをより豊かにし新たな文化を生み出そうとするコトの先を感じさせる提案が複数あったことに山形のデザインが形骸化された表層的なものから抜け出そうとする力を感じました。これからの山形らしさに期待します。

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  森谷昌美
  mujina design 代表

  デザイナーの存在を感じる作品が多く、デザイン力の浸透を感じています。一方、デザイン表現の振り幅は少ない印象を受けました。その中で、自社の強みを活かしつつ新しいジャンルに挑戦した「佐藤屋の乃し梅のシロップ」。コアなユーザーを呼び込む独特な世界観の「ヨー子」。「男もち・女もち」は、地元食文化へのこだわりが印象的でした。山形には、まだまだ多くのデザイン事務所、デザイナーが存在します。企業側からデザイナーを一望でき、企画や商品に合わせ指名する。そんなカタチができれば、山形のデザインはもっともっと面白くなります。