山形県では「デザインとは、モノの色や形だけでなく、問題解決のためにいろいろと創意工夫すること」という視点にもとづき、県内でつくられた優れたデザインのモノ・コトを「山形エクセレントデザイン」として選定・顕彰しています。1997年の第1回開催以降、受賞数は190点を超え、プロダクトやグラフィックのデザインだけでなく、ブランディングやコミュニティ、地域文化、ビジネスモデルに関わることまで、回を重ねるごとに広がりをみせています。これは継続してきたからこそ見える「デザインでひらかれる山形」の姿だと言えるでしょう。今回は、2023年度に選定された13点について、それぞれの創意工夫や開発ストーリーを紹介するとともに、トークイベントやワークショップ等を交えながら、様々な切り口で山形のものづくりやデザインを紐解き、どんな視点や行動がこれからの山形を拓いていくのか、考える機会としていただくことを目的に開催しました。
会期:2024年9月1日(日)~9月16日(月・祝) 10:00~17:00
会場:東北芸術工科大学 デザイン工学実習棟A 1階(山形市上桜田3-4-5)
主催:山形デザインコンペティション実行委員会(構成:山形県、山形市、山形県商工会連合会、山形県商工会議所連合会、山形県中小企業団体中央会、公益財団法人やまがた産業支援機構)
協力:東北芸術工科大学(みちのおくの芸術祭「山形ビエンナーレ2024」、「夏芸大」)、株式会社金入、株式会社DMC天童温泉
来場者数:1,535名
●山形エクセレントデザイン2023受賞製品の展示
山形エクセレントデザインは、魅力的で競争力の高い商品づくりとデザインマインドの向上を目指す事業として、県内で企画・開発・生産されている優れたデザインの製品や取組みについて隔年で選定・顕彰を行っています。昨年度選定された13点について、各社が受賞作に取り組むきっかけや開発ストーリーを取材し、デザインのポイントをまとめた冊子とともに御紹介しました。
受賞企業:株式会社夢の公園、株式会社丸定、株式会社天童荘、株式会社矢萩土建、1Blue株式会社、株式会社KIUEMON、株式会社Q1・株式会社Y.D.K、keiki li’ili’i株式会社、さがえ子姫芋組合、シャルム株式会社、株式会社天童木工、有限会社ヒカルマシナリー、まるい食品株式会社
●現地ツアー / 現地集合・現地解散です。参加者には別途詳細をお知らせします。
①大人のためのコパル見学会&トーク
日 時:9月7日(土)14:00~15:30
会 場:シェルターインクルーシブプレイス コパル(山形市大字片谷地580-1)
対 象:中学生以上
参加者:14名
参加費:無料
講 師:色部正俊氏(シェルターインクルーシブプレイス コパル 館長)
山形エクセレントデザイン2023で大賞を受賞したシェルターインクルーシブプレイスコパルを会場に「大人のためのコパル見学会&トーク」を開催しました。色部館長からは『コパルはすべての子どもたちにとって心地よい居場所であることを目指しているが、“すべての人”と言ってしまうと一体誰なのかが分からない。様々な個性や背景があるなかで、困り感のある“一人”にとことん寄り添うことにした。「〇〇ちゃんの笑顔を見たいよね」と。そのためにはどうすれば良いか、設計・建築・運営が話し合い、一人ひとりの笑顔の実現を積み重ねていくイメージでやってきた』とお話がありました。その後、施設内の見学を行い、元気に子どもたちが遊んでいる中で、大きな滑り台やゆらゆらするネットを体験しました。
②天童温泉のまちづくりが見える源泉めぐりツアー
日 時:9月8日(日)10:00~13:00
会 場:天童温泉街(各源泉、分湯升等)
対 象:建築や地域づくりに興味がある方
参加者:9名
参加費:3,000円(天童荘ガーデン・カフェのランチ付)
案内役:伊藤淑子氏((株)天童荘)、結城光正氏(建築家・東京藝術大学特任准教授・天童温
泉協同組合 景観デザイン専門委員)、鈴木誠人氏(DMC天童温泉)
山形エクセレントデザイン2023で準大賞を受賞した「天童荘うなぎ勘治郎 ~天童温泉の源泉櫓と景観・街並みの創出~」を体感してもらうため、現地ツアーを開催しました。天童温泉組合では20年ほど前に、当時東北芸術工科大学に所属していた結城光正先生や学生とともにまちづくりの勉強会を行っていました。「広い意味でのバリアフリー」や「開かれた屋外共有空間」、「地域の植物の多様性」などのキーワードが「天童の森構想」という景観理念の基盤となり、現在に受け継がれています。天童温泉は元々、田んぼから湧き出たのが始まりとされ、その原風景を現代的な表情で再現したのが10号源泉の櫓。7号、8号、9号の源泉も、これまでは見せる感じにはなっていなかったところを、杉の板塀や高畠石、杉板型枠によるコンクリート壁など統一したイメージで改修され、まち歩きしている時に立ち寄れるスポットに生まれ変わったとのこと。天童温泉の歴史を紹介するパネルや手湯もあり、たしかに、これは次々行ってみたくなる仕掛けだと感じました。最後はガーデン・カフェで参加者の皆さんでテーブルを囲んでランチをいただきました。「地元に住んでいても知らないことがたくさんあった」、「天童温泉を良くしていこうという仲間意識を感じた」、「“観光はまちづくり”ということが良く分かった」、などたくさんの感想をいただき、充実したツアーとなりました。
●お話・ワークショップ
①金属のお話とキラキラアクセサリーづくり
日 時:9月8日(日)14:30~15:30
会 場:展示会場
対 象:どなたでも(小学生以下は保護者同伴)
参加者:11組18名
参加費:500円
講 師:會田悠城氏((有)ヒカルマシナリ―)
はじめに、ヒカルマシナリーの會田さんから金属のお話をしていただいた後、金属を切削した時に出る切り屑を使ったアクセサリーづくりに取り組みました。金属と一言で言っても様々な種類があり、會田さんにご準備いただいた鉄・アルミ・ステンレス・銅・真鍮のサンプルを実際に触ってもらいながら、金属の色や重さ、性質の違いなどを学ぶことができました。また、アクセサリーづくりでは、金属の種類や削る速さによって、切り屑の形や色が違うことを教えていただき、自分が好きな色や形の金属が光る、オリジナルのキラキラアクセサリーが出来上がりました。
②セイケイゴウハンでやじろべえをつくろう
日 時:9月14日(土)14:00~15:30
会 場:展示会場
対 象:小学生(小学生以下でも保護者同伴であれば可)
参加者:6組13名
参加費:500円
講 師:後藤めぐみ氏((株)天童木工)
はじめに、天童木工の後藤さんから成形合板の利点や作り方などを教えていただいた後、やじろべえ(バランスおもちゃ)作りに取り組みました。普段はなかなか見ることができない成形合板の曲げの様子を動画で流すと、子供はもちろん、そこに居合わせた大人も興味津々で映像に見入っていました。やじろべえのゆらゆらする部分は薄いバルサ材を3枚張り合わせて型に入れて固めました。固めている間は、天童木工の「バタフライスツール」や「アームチェア」など成形合板でできた椅子の座り比べも行い、滑らかなカーブや独特のしなりを体感いただきました。みんなとても可愛らしいやじろべえができあがりました。
③「太陽と月のひかり」の離乳食講座
日 時:9月15日(日)14:30~15:30
会 場:展示会場
対 象:赤ちゃんのお世話をしている方
参加者:4組12名
参加費:500円
講 師:浅野佳織氏(keiki li’ili’i(株))
「太陽と月のひかり」の離乳食は、山形県産の有機米・有機野菜・農薬化学肥料不使用野菜を使った、旬の美味しさをつめ込んだ離乳食です。添加物・アレルギー特定原材料28品目不使用で、アレルギーのある子どもでも安心して食べられます。今回は「太陽と月のひかり」の離乳食を実際に試食してもらいながら、食物アレルギーのお子さんを持つ浅野さんの実体験や離乳食づくりのこと、食物アレルギーのこと、育児のことなど、参加者の皆さまと色々お話することができました。赤ちゃんたちも、モロヘイヤやズッキーニ、トマトなど旬の食材を使った離乳食を美味しそうに食べていました。
●みんなでひらく、山形のデザイン
本展示のサブテーマ「山形をひらく、みんなのデザイン」にちなんで、来場いただいた方に「山形のどんなところが好きか」、「山形の良いものやステキな場所」を緑色の紙に書いてクリップで留めてもらいました。食べ物、山や温泉、人柄など、山形の “good”がたくさん集まりました。
●受賞作品の販売(TUADストア)
期間中、受賞作品の一部を東北芸術工科大学構内にあるTUADストアにて販売しました。(柿ベースエナジーバー、アレルギー対応離乳食、子姫芋キムチ、アーモンドオイル、コニャクラゲ等)
●夏芸大連携企画!会期直前、長谷川委員長のプレトーク
日 時:8月31日(土)16:30~17:50
会 場:東北芸術工科大学(山形市上桜田3-4-5)
参加者:約40名
参加費:無料
登壇者:長谷川敦士氏(山形エクセレントデザイン審査委員長/武蔵野美術大学教授/(株)コンセント 代表)
会期前日の8月31日には、芸工大の夏芸大と連携した講座を開催しました。本展示のサブタイトルは、近年エクセレントデザインに応募される作品からもデザインの捉え方がより広くなっていることを感じ「山形をひらく、みんなのデザイン」としました。長谷川さんが代表を務める(株)コンセントのミッションは「デザインでひらく、デザインをひらく」。長谷川さんからは、デザインとはそもそもどういうことか、山形エクセレントデザインで扱うデザインの範囲について、どうしてデザインが必要なのか、そしてみんなのデザインとその可能性についてお話いただきました。
【お問合せ】
山形デザインコンペティション実行委員会事務局(山形県工業技術センターデザイン科)
TEL:023-644-3222 MAIL:design★yrit.jp(★を@に変えてお送りください)
「山形エクセレントデザイン展2024」は、みちのおくの芸術祭「山形ビエンナーレ2024」の連携企画として開催しました。
みちのおくの芸術祭「山形ビエンナーレ2024」 https://biennale.tuad.ac.jp/