「米沢箪笥」は伊達政宗の時代から地域の人々に愛され続けてきた伝統のある箪笥です。衣装箪笥や米沢唐戸(車箪笥)など多種多様な箪笥が作られてきました。現在は大正二年創業の永井家具店のみが継承しています。
宝珠や福良雀、桜など、縁起の良いモチーフが施された手打ちの飾り金具が特徴の米沢箪笥。しかし、金具職人が高齢で作り続けることが困難となり、いまは中古の金具を修復しながら使用しています。永井家具店の永井氏から、手打ちではなく別な方法で金具をつくれないだろうかと相談を受け、金属加工でものづくりを応援するサービスを始めた「HIKARUBE」(有限会社ヒカルマシナリー)に相談。データがあればできるのではないかということで、まずは当センターで図案をデータ化し、試作しました。手打ち金具は全体がわずかに湾曲しているので、当センター機械加工部門にも相談しました。プレス加工で実現可能であることも確認しましたが、今回はそこまでしないことに。溝の深さや角度、穴の大きさ、材質、材料の厚みなどを何度も調整し、福良雀モチーフの箪笥が完成しました。このことにより、これまでの伝統的なモチーフだけでなく、お好みの柄でオーダーすることも可能となりました。今後は、これまで使われていなかった金属素材や表面処理の方法も検討し、いまの暮らし方にフィットする新製品の開発に取り組みたいとのこと。伝統工芸×機械加工で次世代に繋ぎます。(写真左:ヒカルマシナリー 會田氏、右:永井家具店 永井氏)
永井家具店 https://nagaikaguten.jp/
HIKARUBE https://hikarumachinery.com/
*「HIKARUBE」ができるまでのストーリーはこちら